i-shoku.com > 食を考える:輝く女性になるために > 久司道夫講演会
医療と食の充実推進協議会は平成18年11月12日、富山市の富山国際会議場で「マクロビオティック」を提唱する久司道夫氏を講師に迎え、「女性(ひと)として、母として 〜輝く女性になるために〜」をテーマに講演会を開催した。
久司氏は食の充実が家族のきずなを深め、心身の健康を高めることなどについて基調講演した。
パネル討論では県内の医療、教育関係者が「輝く女性になるために」と題して、出産、育児、教育やそれを取り巻く社会環境を分析し、食との関わりについて意見交換した。
久司 道夫 氏
マクロビオティックの食事法は、人間が健康でゆとりのある生活を送ることにつながる。日本の伝統食は、マクロビオティックを実践するうえで最も適しており、日本の風土に合った食事をとり、食生活の改善に努めてほしい。
自分たちの暮らす土地でとれた食材をできるだけ食べることが、マクロビオティックの食事法で大切なことだ。日本で代々受け継がれてきた食事は、穀物や豆類、野菜などをうまく組み合わせ、料理して食べるもので、理想的な食文化が根付いているといえる。
日本の風土で考えた場合、玄米や穀物を主食にし、日常の食事で重量にして全体の4割から6割分食べてほしい。野菜や漬け物、豆類、納豆などの豆製品、海藻類も日常的に食べることだ。
果物や魚介類などは週に2、3回、肉類などはお付き合い程度に月数回に限って食べることを勧めたい。マクロビオティックの食生活を心がけることは、日本古来の伝統食を守り継いでいくことにもつながる。
離婚率の上昇や子どものいじめの増加などと、日ごろの食生活が無関係だとは思えない。人間は本来、人に対する愛情や友情、親切心をもっている。しかし、化学物質を多く含んだり、脂っこい料理を長年食べ続けると、このような大切な心が失われていくのだろう。
「いじめ」という発想が出てくること自体おかしいことで、マクロビオティックの食事法で健全な心身が保たれている人には、考えられないことだ。
病気や生活習慣病予防の点からも、マクロビオティックは効果を上げている。アトピーは動物性脂肪の摂取を抑え、玄米や穀物を多くとるよう心掛けることで、個人差はあるが、改善されることも多くある。乳がんや前立腺がんなど、がんの予防、体質改善にも役立っている。
穀物を中心にした日本古来の伝統食を母親がつくり、家族で一緒に味わってほしい。健全な食生活を共有することで「以心伝心」のごとく家庭に愛情が生まれ、自然と愛情の輪は広がる。そして世間で温かい人間関係がはぐくまれ、明るい社会の実現につながっていくことを願っている。
「輝く女性になるために」をテーマに、富山短大教授で同大付属みどり野幼稚園長の小芝隆氏が「キレない子の育て方」、女性クリニックWe富山(富山市)の種部恭子院長は「働く女性と子育て」、富大附属病院の廣川慎一郎診療助教授は「人間性豊かな医療人になるために」と題して講演した。
富山短大幼児教育学科教授・付属みどり野幼稚園長 小芝 隆 氏
「キレない子ども」を育てるには、子どもの基本的な生活習慣を見直したり、抱え込んでいるストレスを軽減できるように教諭や保護者が努力する必要がある。
全国の公立小学校で起こった児童による校内暴力の件数は、3年連続で増加しており、キレない子どもの育成が急務だ。
1979(昭和54)年は午後9時前に就寝する5歳児は76%だったのに対し、現在は15%。児童も同様の傾向と考えられ、夜更かししてよく眠らず、朝食を食べる時間に余裕がなくなっている。生活習慣の乱れを正すことがまず第一といえる。
また、今の子どもはストレスをうまく解消できない。教諭や親は、子どものストレスを抑え付けず、子どもと同じ目線で話を聞くなどして、「ストレスと上手に付き合える子ども」を育てたい。
女性クリニックWe富山院長 種部 恭子 氏
「日本では女性が生涯に産む子供の数の平均は1.25人と少子化が進んでいる。しかし、スウェーデンでは働く女性が多く子どもを産み、育てることは当たり前となっている。「子どもを望んで産んだか」という調査ではフランスの66%に対し、日本は36%と低いことから、日本には産みたい時に産めない状況があるのではないか。自主的に決め、産むことで子育てにゆとりが生まれる。
働きながら子を産む意義は子育ての楽しみを持つことにある。時間、経済的なゆとりがあり、親が生活を楽しめていれば、虐待などの問題は生まれないはず。子育ての経験は耐えることを学び、仕事の質にも好影響を与える。スウェーデンでは男女の8割以上が育児休暇を取っている。日本の男性はスウェーデンに比べ3時間も長く働いていることが問題である。
富大附属病院診療助教授 廣川 慎一郎 氏
「良い医療人になる」ということは、豊かな人間性を持つことと同じである。自らの感性を磨き、能動的に動くことのできる医療人が今、求められている。
最近の学生たちは、患者に対して「奉仕する」意識が薄いように感じる。目的意識があいまいなため、すすんで動くことをしない。
世の中では、教えられたこと以上に自ら学び、気付くことが欠かせない。個々が目的意識を明確にすれば、若い年代なら一層、創造性の高い仕事ができるはずだ。若者は火薬みたいなものであり、少しきっかけを与えれば、時に私たちを感動させるようなこともする。
医療人としての豊かな人間性を育てるには、感性を磨きながら、人との出会いなどを通じて感動を共有する体験を重ねることが大事だ。
パネル討論は久司道夫氏をパネリストに、医療と食の充実推進協議会代表幹事で富大医学部第二外科学講座の塚田一博教授をコーディネーターとして開いた。「輝く女性になるために」をテーマに、富山短大教授で同大付属みどり野幼稚園長の小芝隆氏が「キレない子の育て方」、女性クリニックWe富山(富山市)の種部恭子院長は「働く女性と子育て」、富大附属病院の廣川慎一郎診療助教授は「人間性豊かな医療人になるために」と題して講演し、食の話題を交えて意見交換した。
富山大学附属病院 第二外科 診療部門長 塚田 一博 氏
制作支援:北國・富山新聞社